2002 年11月27日

深海調査船「しんかい2000」およびその支援母船「なつしま」の運航継続に関する要望書


海洋科学技術センター理事長殿
深海調査研究委員会 小林和男委員長殿
    
前略

時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。さて、仄聞するころによりますと、海洋科学技術センターでは、今年度末で深海調査船「しんかい2000」およびその支援母船「なつしま」の運航を休止する旨伺いました。政府の財政状況を受けての措置と拝察いたしますが、深海の基礎科学に携わる多くの研究者の立場からは、「しんかい2000」の深海生物研究に対する必要性は今なおきわめて大きく、研究に不可欠なものと認識しております。

 当学会でも、この深海調査船「しんかい2000」およびその支援母船「なつしま」のシステムを利用し、深海底ベントスについて新たな生物学的知見を公表してきており、それによって海洋生物学の発展にも多大に寄与してきました。人間の眼で詳細な観察が行える有人潜水調査船は、先進諸国の中でも数えるほどしか保有されておらず、我が国における「しんかい2000」を用いた調査で得られた新しい知見は、深海に関わる基礎科学への大きな国際的な貢献を果たしてきました。

 深海に関する研究は、これから科学が取り組むべき地球上に残された未知のフロンティアの1つと位置づけられ、深海生物研究の側面からだけでも、
・ 深海生物の多様性、進化
・ 物質循環における深海生態系の役割
・ 未知なる有用生物資源の探索
など、取り組むべき研究課題は枚挙にいとまがありません。

以上のような科学的重要性に鑑み、深海調査船「しんかい2000」およびその支援母船「なつしま」システムの運航の継続を学会として強く要望いたします。

                             日本ベントス学会会長

                          菊池泰二